倉庫業について

神奈川の倉庫業は、安政6年(1859年)の横浜港開港による輸出入貿易貨物の保管から始まり、道路網の発達などにより、内陸地区へ向けて発展しました。横浜開港の時代から、物を保管することは、倉庫業の基本です。しかし、現代の営業倉庫は、保管だけに留まらず、流通加工、輸送・配送、個人の品物をお預かりするトランクルーム等、様々なサービスを提供しています。こういった変化の中で、倉庫業の健全な育成・発展を遂げてきた営業倉庫は、平成13年に一部改正公布された倉庫業法に基づき、国土交通省に登録した業者だけが、営業倉庫を営めるようになりました。神奈川倉庫協会の会員業者は、国土交通省に登録した正規の倉庫業者です。

みなさんは、倉庫についてどんなイメージをお持ちですか。 家の物置や工場脇の資材置場、商店に併設された在庫置場などを想像される方もいらっしゃるのではないでしょうか。 倉庫業でいう倉庫とは、ただ物を置くだけの場所ではなく、お客様から品物を預かり商品価値を維持したまま管理する「保管業務」を行う施設になります。このページでは、物流の6大機能の1つである「保管業務」を行っている倉庫会社の仕事や社会的な役割についてご紹介させていただきます。

物流のしくみ

今日の生活は物流なくして成り立たないと言ってもよいくらい、物流は現代社会において重要な役割を担っています。生産者により生産された商品が消費者であるみなさんの手に届くのも、物流の力が大きく関わっています。
物流は、輸送と保管を中心にした「輸送」「保管」「梱包」「荷役」「流通加工」「情報処理」の6つの機能で構成されており、これらの機能が連携しあうことで成り立っています。では、それぞれの機能をもう少し細かく見ていきましょう。

倉庫業は「物流の司令塔」

このように物流は、それぞれの機能が連携しあって成り立っています。そして、物流の中でも輸送とともに中心的な役割を担っているのが保管であり、この保管業務を担っているのが倉庫業であり、倉庫会社なのです。
多くの倉庫会社では、保管業務だけでなく、荷役、輸送、梱包、流通加工、情報処理の6つの機能を持っており、物流を総括・管理する総合的な業務を行っていることから、倉庫業は、「物流の司令塔」という役割を担っていると言えるのです。そしてこの「物流の司令塔」の守備範囲は海を渡って海外にまで広がっています。

保管

保管とは、保管機能を有する施設で、商品などの物資を貯蔵し管理することです。ただ単に物を置くのではなく、その商品価値を維持するために商品知識を充分備えた上で品質や用途に応じた管理をしています。また、米などの農産物では収穫時期と消費時期とに時間的なズレが生じることがあります。この時間的なズレの調整も保管の役割のひとつであり、需要と供給のバランスを保っています。

荷役

荷役とは、商品を倉庫から出してトラックに積み込むなどの作業のことです。輸送、保管、梱包、それぞれの前後に必で、商品の特性を理解した上での熟練した取扱能力が求められます。特定の貨物の荷役に特化した専用機材や人員を配置している倉庫会社もあります。

輸送

輸送とは、工場から倉庫、倉庫から販売店へと商品などの物資を運ぶことです。商品が生産される場所と消費される場所には距離があるため、商品は、国内はもとより世界中から輸送され、そして倉庫を経由してみなさんの手元に届きます。

梱包

物流における梱包とは、輸送途中等において商品を損傷から守り、品質を保つために行なう包装のことです。

流通加工

流通加工とは、物流の過程で消費者の要望や法律の定めに応じ、商品に加工やラベル貼り等を施すことです。この流通加工により商品はさらに付加価値が加わり、商取引上の利便性が高まります。流通加工は作業の効率性からほとんど倉庫の中で行われています。

情報処理

物流における情報処理とは、貨物の輸送や保管に必要な情報処理システムのことです。
現在の商品は様々な側面からデータ管理されています。倉庫会社は商品のデータ管理を行い、在庫情報や入出庫情報をお客様に提供しています。また、お客さまと倉庫会社の双方の情報システムを連動させ、リアルタイムで商品データを処理していく場合もあります。

倉庫業の社会的な役割

倉庫には、大きく分けて自家用倉庫、営業倉庫、農業倉庫、協同組合倉庫の4つがあります。倉庫業でいう倉庫とは、営業倉庫のことで、倉庫業法にのっとり、登録を行った倉庫会社がお客様から品物を預かり保管するための倉庫をいいます。倉庫業の本質は保管業務にありますので、倉庫業は保管業務を通じて次のような社会的な役割を担っています。

物流拠点としての役割

物流拠点としての役割
輸送モードの結節点

船舶等を利用して大量に輸送されてきた貨物をトラックなどの陸上輸送に積み替える場合、倉庫を拠点として行われることが多くみられます。物流における各輸送モードの結節点として倉庫は不可欠です。

貯蔵機能としての役割

貯蔵機能としての役割
需要と供給の時間的なズレを調整

商品を倉庫で保管することで需要と供給との時間的なズレを調整しています。商品が必要となる時期まで品質を維持して商品を保管します。

商品売買を補助する役割

商品売買を補助する役割
倉庫証券による取引

倉庫証券発行許可を得ている倉庫会社では、求めに応じて保管中の商品に対し倉庫証券を発行します。これにより商品の所有者は商品を移動させることなく売買できます。また、証券を担保に融資を講ずることもできます。

市場価格の安定を図る役割

市場価格の安定を図る役割
需要と供給のバランスを保ち
市場価格の安定を図る

大量に生産、または輸入された商品を倉庫で保管することで需要と市場への供給のバランスを保ち、市場価格の安定が図られます。

このように倉庫業は保管業務を中心に現代社会において、重要な社会インフラとしての役割を担っています。そして、倉庫業は、私たちの生活基盤を支える公共性の高い事業といえるのです。

営業倉庫が提供する物流サービス

貨物の特性に合わせた保管をはじめ、様々な物流サービスを提供しています。

営業倉庫が提供する物流サービス


流通加工

お客様のニーズに適合した加工をすることにより、商品の付加価値を高め、商取引上の利便性を高めます。
また、倉庫内で加工作業をすることにより、物流の効率化を高めます。(包装・詰め合わせ・ラベル貼り・マーク刷り・値札つけ・組立て・検針・検量など)

ピッキング・荷揃え

出庫指示(またはオーダー)に則って対象貨物を、ピッキング後、配送先別・方面別に仕訳し、品目・個数に間違えがないかなどのチェックをして、荷揃えします。


出庫

指定された時間に合わせ、出庫を完了します。

輸送・配送

様々な輸送手段を使用した輸・配送サービスを提供します。(時間指定配送・小口配送・保冷配送・長距離配送・国際輸送など)


ニーズに合わせた様々なサービスを提供します。

  • 荷主からの、入・出荷指示に基づき、貨物の庫入れから、流通加工、出庫、輸配送、納品までの一連の作業に合わせ、入・出庫関連情報を提供します。
  • 各種の保管管理形態に合わせた貨物の在庫情報を提供します。
  • 損害保険の付保事務、輸出入通関手続き、量販店向け専用伝票の発行など各種の事務処理サービスを提供します。

営業倉庫が提供する物流サービス

営業倉庫は下記のように分類されています。神奈川倉庫協会は、普通倉庫を営む会員で組織されています。

普通倉庫

農水産品、鉱工業原材料、鉱工業製品をはじめとしてご家庭の家財まで、様々な貨物を保管する。

1・2・3種倉庫
一般に見かけられる代表的な倉庫。建物の構造基準により3つのグレードに分けられる。
トランクルーム
ご家庭の家財、ピアノ、絵画、企業の書類、磁気テープなどを保管。
危険品倉庫
消防法で危険物に指定されている貨物を保管する。
貯蔵槽倉庫
小麦などバラ(袋などに入らない)状態で保管することが適当な貨物や液状の貨物などを保管する。
穀物サイロが代表的。
野積倉庫
鉱物や木材など雨風に強い貨物を保管する。

冷蔵倉庫

食肉、水産物、冷凍食品など10℃以下で保管することが適当な貨物を保管する。

水面倉庫

原木を水面で保管する。